昆虫食は、栄養価が高くて健康に良いと国際的に注目されながらも、昆虫を食べるのが日常的とはいえない日本では、美味しいの?と興味本位でトライする方が多いですね。
昆虫食は、2013年に国連食糧農業機関(FAO)が食糧危機の解決手段の1つとして報告書を提出し、食べ物の仲間入りしたも同然の状態になりました。
ですが、昆虫を常食しない日本ではまだまだ抵抗があり、どんなメリット・デメリットがあるのかもわからないことが多いです。
最近までの生活を振り返ると、ペット以外の昆虫は殺虫剤を吹きかけて退治するか、追い払うことが一般的でした。そんな虫を食べるなんて、人体への影響が気になりますね。
そこで、この記事では昆虫食を取り入れる際のメリットやデメリットを調べて、人体への影響についてご紹介していきます。
注目の昆虫食だが…デメリット多し!
現在は飽食の時代と言われていますが、国連では2050年には人口増加の影響で食糧危機に陥る可能性があると推測しています。
その救世主として昆虫に白羽の矢が立ったものの、果たして本当に救世主となるのか疑問や不安も多いです。
昆虫食は、食べてみると意外と美味しいという声もある一方で、口に運ぶ前にギブアップする方も少なくありません。
では、どんなデメリットがあるのか、昆虫食のデメリットにスポットを当てて見ていきましょう。
見た目がグロい、気持ち悪い…
昆虫食のほとんどは、生きていたときの原型を留めているものが多く、見た目ははっきり言ってグロいです。
カブトムシやバッタ類など日常生活で目にする昆虫ならいくらかマシでも、ワーム系やクモ類などはかなりの割合で気持ち悪くなることでしょう。
普段からあまり見慣れない昆虫や毒を持つ昆虫類は、見た目でドン引きしてしまい、口まで運ぶことなく諦める方も多いです。
甲殻類アレルギーの方は注意
昆虫は、昆虫界全体的にエビやカニと近い生物で、実食した感想にもエビのような味、カニ味噌のような濃厚な味など、近い関係にあることがわかる内容が多いです。
そのため、甲殻類アレルギーを持つ方は、昆虫食を食べないようにするか、少量のみで様子を見るなど注意が必要です。
寄生虫や毒などのリスク
昆虫食に加工される前の昆虫の多くは、国内製造ではなく海外から輸入される昆虫がほとんどです。
そのため、昆虫自体に寄生虫がいる可能性や、もともと持つ毒が残っている可能性があります。
安全性が確認されている製造元の製品なら大丈夫ですが、あまり見かけないようなメーカーや、出所がわからない製品には注意した方が良いでしょう。
残留農薬のリスク
昆虫の中には植物をエサにする種類もいて、場合によっては農薬を使った植物で飼育されている可能性があります。
もしも、農薬を使った植物をエサにしていた場合、昆虫自体に農薬の成分が残留するおそれがあります。
特に海外から輸入された昆虫食の場合、昆虫のエサや飼育環境まではなかなか確認できません。
最悪の場合、農薬の成分が残る昆虫食を食べるかもしれません。残留農薬の影響を避けるためにも、安全性が確認されているメーカーの昆虫食を食べることをおすすめします。
意外とコスパが悪い
昆虫食の多くはドライスナックになって販売されています。昆虫の種類にもよりますが1袋あたり1,000円前後から売られています。
内容量は10gに満たないことも良くあり、個体数によっては1匹あたり50円~100円くらいの単価になる可能性もあります。
まだまだ昆虫食の需要や流通量が少ないので、若干高値が付くのも仕方ないのかもしれませんが、いくら栄養が豊富で体に良くても、1匹当たり100円近くするようではちょっと高い気がしますね。
現在の時点ではあまりコスパが良いとはいえないんです。
とはいえ、昆虫食は将来発生するであろう食糧危機にも対応できる新しい食材であり、安心して食べられるよう各国で研究や開発が進んでいます。
現状の日本では安全に食べられるよう加工された製品のみ販売されており、海外のように野生の昆虫を採ってきて食べることはありません。
その点では安心して食べることができますね。次では、昆虫食のメリットを見ていきましょう。
昆虫食のメリットは魅力的!現在、企業による研究・開発が進む
昆虫食は見た目が気持ち悪いなどデメリットが目立ってしまいますが、実は、デメリットを超えるメリットがある食材です。
そのため、日本をはじめ海外では先進国を中心に研究開発が進められています。詳しく見ていきましょう。
栄養価が高い
昆虫食は栄養価が高いことが最大の特徴で、高たんぱく、低脂質、低炭水化物、必須アミノ酸を豊富に含むなど、肉類よりも優秀な栄養価の昆虫もいます。
また、脂質は低いだけではなく質も良いのです。コレステロールや中性脂肪を下げると言われるオメガ脂肪酸が含まれ、動脈硬化や心筋梗塞のリスクも下げる効果が期待できます。
最も注目されているたんぱく質は、牛肉100gあたり20g前後なのに対し、コオロギ100gには70g前後も含まれているのです。
およそ70gのたんぱく質を食品から摂取するとなると、鶏むね肉なら300g程度、牛乳なら2L相当に当たります。
具体的に栄養価を見ていくと、取り入れないなんてもったいない!食材です。
大量生産がしやすい
昆虫食になる昆虫のほとんどは、生育する環境が整っていれば、狭いスペースで季節に関わらず年中生産することが可能です。
つまり、広いスペースで年中生産できれば大量生産も夢ではないわけです。
牛や豚などの家畜に比べて、エサ代もかからないためかなり効率的に生産することができます。
環境にやさしい
昆虫食となる昆虫たちは、飼育過程で地球温暖化に影響するガス類を排出しないため、環境に優しいことがメリットです(参考:環境負荷が少ない昆虫タンパク)。
地球温暖化が問題視されて以来、牛が排出するメタンガスは、二酸化炭素の28倍もの温室効果があることがわかり、食用の家畜ですら減ガスの研究が進められてきました。
地球上には15億頭もの牛がいるといわれる中、その10分の1でも減ガスすることができればより地球に優しく食材になりますね。
さまざまなメリットがある昆虫食は、人類だけでなく地球にも貢献する可能性を秘めています。
まとめ
今回は昆虫食のデメリットを中心にメリットもご紹介しました。
昆虫食は見た目こそ気持ち悪いですが、栄養価が高く地球にも優しいことがわかりましたね。
これほど良いこと尽くしの食材なら、世界中で注目を集めるのも当然のことでしょう。
本当に美味しいのか、人体への影響はどうなのか不安に感じていた方も、この機会に昆虫食にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
昆虫食全般にカニやエビに似た旨味を味わるので、興味のある方はぜひ参考にしてくださいね。