昆虫食は、栄養価が高くて美味しく、宇宙食や将来の食糧危機への備えとしても注目を集めていますね。
ですが、虫ならどれでも食べられるわけではなく、食べられる虫と食べてはいけない虫がいることをご存じでしょうか。
食べられる虫には身近で良く知っている虫から、食べられるなんて信じられないような虫までさまざまな種類があります。
この記事では、食べられる虫と食べられない虫の種類、虫の食べ方についてまとめています。昆虫食に興味がある方はぜひ、チェックしてみてくださいね。
【美味しい】食べられる虫14選
カブトムシ
甲虫の王様と呼ばれるカブトムシは、幼虫・蛹・成虫のどの時期でも食用とされ、主にタイなどアジアで炒め物・揚げ物・煮物などで食べられています。
中でも成虫は国内で昆虫食として人気があり、姿のままカラッと素揚げにしたカブトムシにレモンを絞り、豪快にかぶりついて食べます。
全体的にバリバリ食感で、内部からドロッと液体が出てくるようなこともなく、頭や外側の羽はかなり硬くタフさに驚きます。
タランチュラ
クモの中でも危険なタランチュラは成虫が食用にされ、カンボジアでは素揚げ・炒め物・串焼きなどで食べられています。
脚はポリっとスナックのような食感、ボディーはカニ味噌に近い味で、内臓系の独特の濃厚さがクセになる方が多いです。
大きな個体の方がカニ味噌風味がしっかりしているため、大きい個体ほど高値で取引されます。
たんぱく質やビタミン類、亜鉛を豊富に含み、カンボジアでは大切な栄養源として親しまれています。
カメムシ
カメムシは、種類が豊富なほか種類により味や香りが異なり、幅広い楽しみ方ができる虫です。メキシコゲレロ州タスコが有名な生産地で、旬の季節にはフェスティバルも開催されています。
メキシコでは生食が普通、シナモンの香り・パクチーの香り・洋ナシ・リンゴなど人によって香りの感じ方が異なり、加熱調理ではスープやサンドイッチなどで食べます。
ヨウ素を多く含み、麻酔や鎮痛成分が含まれる虫としても知られています。
ミルワーム
ミルワームは簡単に養殖できることから世界中で食される虫で、塩ゆで・唐揚・炒め物などにして食べます。
高たんぱく・ビタミン類・必須アミノ酸などバランスよく含み、国内ではドライスナックが人気です。見た目こそ歓迎できませんが、ポリポリと軽い歯ざわりが病みつきになります。
商品によっては香ばしい香り、ナッツのような香りがして、カニやエビの出汁を感じる方が多いです。
コオロギ
コオロギは中国やタイなど世界中で良く食べられる虫で、香りや食感がエビに似ていることが特徴です。
100g中約70%ものたんぱく質を含み、スープにすると驚くほどの出汁が出ます。種類やサイズが豊富なため、用途や気分で選ぶのも良いでしょう。
出回っているのはドライコオロギがほとんどで、さらに片栗粉をまぶして揚げ焼きにすると、サクサク食感がたまらない一品ができます。
子どものおやつやお酒のお供にいかがでしょうか。
タガメ
タガメは東南アジアのポピュラーな食材の1つで、素揚げのほかゆでる・蒸すなどして食べています。
特に雄のタガメは洋ナシのような香りを放ち、ナンプラーや山椒などに漬けて香りを楽しむこともあり、国内では香りを活かしたタガメサイダーが販売されています。
一般的にはドライスナックとして流通し、パリパリした食感がエビの殻を想像させます。高たんぱく・高脂肪・高カロリーのため、肉や魚の代用食にもなります。
バッタ(イナゴ)
バッタはイナゴを始め世界中で食べられていて、国内では佃煮にするのがポピュラーですが、海外では炒める・揚げることが多くスパイシーな味付けが多いです。。
昆虫食の中でもたんぱく質が豊富、特にイナゴは低カロリーなことが特徴です。
佃煮や素揚げのどちらでも味はエビに近く、バッタの中でもイナゴが最も旨味が強い傾向です。しっかり揚げた場合、腹部は空洞になりサクサク食感が楽しめます。
セミ
セミは中国や東南アジアの人気食材で、高たんぱく低脂肪なことから健康に良い食材としても知られています。
揚げる・煮る・約・燻製・蒸すなどさまざまな調理法があり、素揚げは香ばしくエビを連想させる味で食べやすいです。
焼く場合はサッと炙って皮を剥き中の身を食べるのが美味しく、燻製には成虫より幼虫の方が人気です。幼虫は甘味とコクがあり、ナッツのような風味があります。
ゴキブリ
ゴキブリは日本を含むアジアやヨーロッパで食べられ、揚げ物・塩焼き・天ぷら・ジャムなどの調理法があり、ジャム以外はすべてエビのような食感と味が楽しめます。
昆虫食の中でも高たんぱく・高脂肪・高カロリーで、豚ロースの2倍のカロリーがあります。
また、古くから薬用に利用され、中国では生薬名をしゃ虫(しゃちゅう)といい、血行促進や毒の分解、腫れを解消する薬として、その他海外でも心臓病・破傷風などの治療薬でした。
カマキリ
カマキリはカンボジアでは路上販売されているメジャーな食材で、焼く・炒める・揚げる・甘露煮などが主な調理法です。
羽と脚を取ってから揚げると食べやすく、卵を持つ個体ならクリーミーな甘さも味わうことができます。
また、すでに産み付けられた卵嚢は冬に集めておき、春に一斉に孵化したところを野菜と併せてかき揚げにするか、さっと湯通しして豆腐などのトッピングにすると美味しいです。
ムカデ
ムカデは中国では屋台で売られ、串焼き1本あたり日本円で1,500円もする高級食材です。焼く・揚げるなどが主な調理法で、他の虫と同じくエビの尻尾のような味や食感が特徴です。
好みのタレを絡めながら付け焼きにすると香ばしくなり、味付けをしないままでは食べにくさがあります。
中国では美容に良いとされ、屋台でムカデ串を購入して食べながら歩くのが流行っています。
トンボ
トンボは羽を取りゆでて食べることができます。海外ではどの国で食べられているか、栄養価などは不明ですが、国内では実験的に食べられています。
ゆでた場合は頭部・胸部共に甘味のある煮汁が美味しく、胸部の肉は大型トンボの方が多くなる傾向で、全体的に豆やエビの身のような旨味があります。
トンボ味を堪能したい方は、できるだけ大型のトンボがおすすめです。
サソリ
サソリはアジアでは人気の食材で、中国・タイ・香港・シンガポールなどでは揚げるのが一般的、パリパリの殻はエビの素揚げによく似てクセのない味が特徴です。
中国では山東料理のコース料理で使われ、屋台ではおやつ感覚で食べられます。
大きな個体になるとハサミの部分が硬く、殻が口の中に残ることも多いため、適度な大きさの個体を選ぶのが良いでしょう。
国内では昆虫食として加工されたドライスナックが人気になっています。
ハチ(蜂の子)
日本でも食される蜂の子は、日本をはじめタイやメキシコ、ルーマニアなど世界中で食べられてきました。たんぱく質やアミノ酸が豊富で貴重な栄養源として愛されている食材です。
主に甘露煮・炊き込みご飯・炒め物・素揚げなどで調理され、蜂の種類によっては若干クセがあるものの生食すると甘味があります。
また、古代の中国では薬としても珍重され、頭痛・内臓疾患・美肌・長寿などに効果があるとされてきました。
食べてはいけない虫に注意!
虫の中には食べてはいけない虫がいるのをご存じでしょうか。
食べてはいけないということは、虫自体が毒を持つことや、毒を持つ植物を食べていることが関係し、中には感染性細菌が多い虫もいます。それぞれ代表的な虫を紹介していきます。
猛毒を持つ虫
虫の中には猛毒といわれるカンタリジン(致死量30mg)を体液にもつ恐ろしい虫が存在しています。
代表的な虫では、マメハンミョウ、アオカミキリモドキ、ツチハンミョウ、アオバアリガタハネカクシなどが挙げられます。
これらの虫は、強力な炎症性の毒を持つので食べてはいけません。
毒を持つ植物を食べる虫
また、エサとして強い毒を持つ植物を食べている虫もいます。例えば、エリサン、アサギマダラ、オオゴマダラ、カバマダラ、キョウチクトウスズメです。
これらの虫はエサとなる植物の毒成分を成虫になっても体内に持つことで知られ、昆虫食として積極的に食べる人もいません。虫を食べてみたいとしても、避ける方が無難でしょう。
感染性細菌を含む虫
加えて、虫の消化管に感染性細菌を含む虫も危険です。代表的なのはイエバエ、ゴキブリ類、オサムシ類、シデムシ類、ゴミムシ類などが挙げられます。
これらの虫が持つ感染性の細菌は、生きたまま人体に入ると食中毒を起こします。消化管がある内臓を取り除けば良いという意見もありますが、なるべく食べない方が良いでしょう。
苦味のある虫
その他では、苦みを持つなどの味の悪い虫は食べない方が良いと言われています。この苦みは弱い毒が含まれている可能性があり、大量に食べたときの安全は保障されていません。
また、世界中のすべての虫が食用に適しているかが確認しきれていないことから、不味いと感じる虫は食べない方が良いでしょう。
虫の食べ方は3つ(生食はやめとけ)
虫を食べるときは、主に3つの方法があります。焼く・煮る・揚げるのうち、いずれかの調理法で食べることで、安全に虫を食べられるようになります。
虫を食べるときはしっかり火を通すことが重要です。すでに加工されたドライスナック類は、形こそ原型を留めていますが完全に加熱された状態です。
ドライスナック類なら安心して食べられますが、野生の虫を加熱して食べるときはできる限りしっかりと加熱するようにしましょう。
また、どんなにチャレンジしてみたくても、生食は避けてください。虫にはどんなリスクがあってもおかしくないし、生食により体調不良を起こしたとしてもすべて自己責任になります。
できればしっかり加熱処理された安全な昆虫食を選び、好みによって塩や胡椒、その他の味付けをして美味しく食べるのが良いでしょう。
まとめ
今回は食べられる虫と食べてはいけない虫についてご紹介しました。海外はもちろん、国内でも古くから虫を食べてきたことがわかりましたね。
食べられる虫の中には意外な虫もいましたが、さまざまな調理法で美味しく食べられるなら1度は食べてみたいものです。
ただ、世界中には食べてはいけない虫が存在しているので、野生の虫はなるべくたべないで、安全に加工された虫を食べるようにしましょう。
気になる虫が見つかった方は、さっそく試してみてはいかがでしょうか。